anezakimanの部長日記

メーカー部長、中小企業診断士、通訳案内士(英語)、放送大学大学院修士全科生の日々奮闘記

諸行無常の響きあり

先週、時間がちょっと空いたので、表参道にある根津美術館に初めて行ってきました。東武鉄道社長などを勤めた実業家のコレクションをもとに戦前に開館、3年ほど前に著名な建築家である隈研吾氏の設計で新たな展示館ができ、広々とした日本庭園と併せ、一見の価値ありでした。

目的の展示は、『平家物語』を120図の扇形の紙に絵画化した「平家物語画帖」の全画で、熱心に観ているNHK大河ドラマ平清盛』も含めた一連の中世歴史もの探索の一環です。9百年ちかく前の歴史ドラマを、かくも長大な物語と絵巻に展開した当時の日本人の歴史感覚と文学のレベルの高さは、素直に凄いと思いました。

そこの売店で、『1日で読める平家物語』を買って『平家物語』の簡易版を読んでいます。

1日で読める平家物語

1日で読める平家物語

平家物語』では、平清盛が徹底的な悪人、その息子の平重盛が立派な人として描かれていますが、ドラマ『平清盛』ではどちらかと言えば逆で、重盛がちょっと頼りない二代目として出ているのが興味深いです(史実はこちらのようですが)。

平家物語』と言えば、冒頭に出てくる以下の有名なフレーズです。

祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり

沙羅双樹の花の色、盛者必衰の理をあらわす

おごれる人も久しからず ただ春の夜の夢のごとし

猛き者も遂にはほろびぬ 偏に風の前の塵に同じ

高校の古文で習って以来、久しぶりに読み返して意味をじっくり考えてみると、現代日本の国力、産業、そしてわが業界と弊社のことに思いが及びます。短期的に起こる事情に、徒に悲観的になったり、楽観的になったりせず、中長期的な歴史観、使命感にもとづいて粛々と前を向いて歩いていくこと、こんなメッセージが頭をよぎっています。