リーダーシップ講演会
とても関心ある講師陣が揃った講演会に行ってきました。お題は「世界に通用するリーダーシップのつくりかた」。講演者は、一橋大学の楠木建先生と一條和生先生、ビジネス界からローソンの玉塚元一社長、日本GEの安渕聖司社長、日産自動車の志賀俊之副会長、スポーツ界から2004年アテネ五輪サッカー日本代表監督の山本昌邦氏という豪華メンバーでした。
軽妙な楠木先生の「好き嫌いと経営」
- 戦略にはSP(Strategic Positioning)とOE(Operational Efficiency)があり、SPは好き嫌い、OEは善し悪し。
- 戦略とはやらないことを決めること。従って一生懸命やっている現場では無理、リーダーが必要。
- 経営者(リーダー)は商売を丸ごと動かすセンスが必須、担当者のスキルとは対極のもの。
- スキルはインセンティブ(誘因)、センスはドライブ(動因)。
- 成熟経営では「好き嫌い」の経営。得意な土俵で得意な仕事を。
体育会系バリバリ玉塚社長の「境界なき市場競争とリーダーシップ」
- SCM(商品力強化) x CRM(売場力強化)を基盤にして自社らしさを徹底追及
- 人は育つ(そう信じる!)、自律型人間の最大化
- 経営理念、目標の共有がとても重要。短中期、WHY、御利益完全共有
- すべては顧客、マチ、変化起点
- "事実"把握への執念。事実には表面事実、希望事実、報告事実、内輪事実あり
- PDCA:健全仮説、実行重視、疎外要因排除
- 大企業病は計画95%、実行5%。一流企業は実行一流
- 部分最適XX、全社最適XX、現場最適◎◎
- 目の前に見えたチャンスを徹底追及、そこからブレークスルーが始まる
- なるべくシンプルに直線的に考える
- わかりやすい言葉、メッセージで繰り返し繰り返し伝える
熱血理論派風の山本監督、「世界でどう戦うか 次世代リーダーのエッセンス」
- あきらめない、折れない気持ち+良い習慣
- 指導者とは自分なりのサッカー哲学を持って信念で導く
- 高い目標を持つ
- コーチ、指導とは良い質問で自ら考えさせること、答えを言ってもろくなことにならない
温厚そうなMr. GEの安渕社長「GEの仕事術」
- GEのGrowth Values:外部志向、明確で分かりやすい思考、想像力と勇気、包容力(inclusive)、専門性(テクノロジー)
- Growth ValuesからGE Beliefsへ:Customers determine our success、Stay lean to go fast、Learn and adapt to win、Empower and inspire each other、Deliver results in an uncertain world
- 自分ができないことをよく知っている人が良いリーダーになる
- 日本人は許容性、多様性に富み、自然と調和してきた。その自分たちの得意なことを一生懸命活かして人材を再度見直し、より強くしていく
迫力満点のパフォーマー一條先生の「リーダーシップ・ジャーニー」
- これからのリーダーは未知なることに直面しながら決断していく。基盤になるのは人類の知恵であり、時代を超えた本質。従ってリベラルアーツを学べ
- リーダーシップは外部変化への対応力、マネジメントは内部複雑性への対応力
- ストーリーテリングによるリーダーシップ、過去を語ることにより未来を切り拓く。人は「語る」ことによって、生の意味を見いだし、自己を変え、人と人の共同生活を作り、世代と世代をつないでいく
- フィードバックを受け、ジャーニーを続けていく
包容力に溢れる志賀副会長の「和魂多才の日産のグローバルマネジメント」
- グローバルマネジメントを掲げるグローバル企業は、グローバルに人財を確保し、グローバルに最適配置し、その能力を活用し、全体のパフォーマンス最大化を目指します
- 多様性を受け入れる能力=共感力(Empathy)。同感(Sympathy)は、相手と同じ立ち位置にいること
- 多様でないこと:何かに守られている状態、例えば学歴、学閥、年功
- 欧米人は危機になるとギラギラしてくる、変わるチャンスと捉え、レジリエンスが強い。これは日本人が本来持っていたはず(明治維新、敗戦)
- 日本人の強み:チームワーク、三遊間を拾う、不言実行、謙虚、Hard Work、勤勉
- 日産が目指す組織:日本企業としての強み・日産のDNAを活かしながら、多様な人財がイキイキと働く組織。
- 和魂:柔軟な対応力をもって何事にも主体的に取り組み、高いチームワークで、確実に最後までやり切る
- 多才:事実/データに基づいたロジカルな思考で、多様性を尊重しながらリーダーシップをもって結果を出し続ける
自分なりの言葉、思考として吸収するには、まだまだ時間が掛かりそうですが、とにかく大きな刺激を受けました。