anezakimanの部長日記

メーカー部長、中小企業診断士、通訳案内士(英語)、放送大学大学院修士全科生の日々奮闘記

読書:「壁を壊す」「全員経営」

ここ数ヶ月で読んだビジネス書で、印象に残った2冊を記しておきます。

壁を壊す

壁を壊す

 

 源流が19世紀末という伝統ある鉱山会社「同和鉱業」(現「DOWAホールディングス」)において、事業・組織・風土を徹底的に改革し、企業を生まれ変わらせた経営者のストーリーです。会社にある多くの壁、部門ごとの縦割りの組織の壁、現場と管理職、社員と役員を分ける上下の階層の壁、会社の外部に対して情報を見られまいとする会社の壁、人間関係や個人的な利害関係に由来する人の心の壁、そしてこれらが複合的に絡み合って醸成される風土・文化の壁、さらにはその象徴としての物理的な会社のなかにある仕切り壁まで。これらを徹底的に壊して変革していく姿は鬼気迫るものがありました。

本当に会社を変えるような変革仕事とは、かくも過酷でやり切る覚悟がいるものかと、改めて認識させられました。

 

知識創造経営の大家、野中先生と勝見氏のイノベーションシリーズの第4弾。今度は自律分散型のイノベーション企業の成功の本質に迫るべく、JALヤマト運輸セブン&アイ等の実例を解析します。これは私の本年度の行動指針「全員営業、自律営業」に大きな影響を与えました(というか「全員経営、自律分散型経営」のパクリですが・・)。 

  • 日本企業がもう一度、強い競争力を発揮するために、今、私たちが取り戻すべきは、すぐれた実践的知恵、すなわち「実践知」を社員一人ひとりに組み込む全員経営のあり方にほかなりません。そして、それは日本企業が本来持つDNAであることを再確認すべきです。
  • 「実践知」とは、「即興の判断力」です。現場で個別具体のミクロの現実に直面したとき、その都度、背後にある文脈や関係性を読み、マクロの大局と結びつけ、適時に最善の判断を俊敏に行う。それが典型的な実践知です。
  • 基本理念の共有と徹底した権限委譲が全員経営を可能にする。
  • 全員経営を実践する強い企業は、社員のなかで知識創造の「型」が共有されている。型とは、単なるルーティンやハウツウではなく、新しい価値や意味をうみ出すため、社員が身につけ、組織に根づいた知の作法のことで、「クリエーティブ・ルーティン」とも呼びます。
  • 一人ひとりがその組織に定着した知識創造の型を実践し、その都度、最善の判断を行うフラクタル組織を形成できた企業が競争力を持つ。
  • 機動戦では指揮系統は中央より、現場の状況判断と行動が優先するため、現場の兵士一人ひとりが実践知を持った自律分散型のリーダー人材でなければなりません。機動戦により、価値の源泉となる知識を高速高回転で創造し、戦略から戦術レベルまで柔軟な構想力と行動力を駆使できる能力は、「知的機動力」とも呼ぶべきものです。
  • ものごとの大筋をつかんだら、まずは試してみる。失敗したら、成功するまで試せばいい。「試す人になろう」ー日本企業の再創造に向けた集合的実践知経営は、一人ひとりがこの言葉を胸に刻むことから始まるのでしょう。

まったく御意でございます。部内の「グロ商道」ゼミでは、少しでも実践知、知識創造の型、知的機動力が養われるよう、そして「試す人」が増えるよう頑張ります。