読書:中世歴史もの
歴史の大きな転換点を迎えようとしている激動の現代、日本の歴史から学ぼうと過去の変節点を振り返ると、至近では太平洋戦争敗北後の荒廃からの奇跡的な高度経済成長、そして明治維新があります。前者は軍国主義から米国風民主主義への変換、後者は封建体制から欧州風近代国家への転換とも言えます。それ以前を考えると、貴族の時代から武士の時代、すなわち平安後期から鎌倉時代が、日本の権力構造が変わった大きな転換点です。
おりしもNHK大河ドラマ「平清盛」もやっており、この時代の関連書を読んでいます。長期出張中に読んだ「親鸞」(五木寛之)では、この末法の世の雰囲気のなかで、思想、信仰に命をかけた青年親鸞の一途さにすがすがしさを覚えました。
- 作者: 五木寛之
- 出版社/メーカー: 講談社
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- メディア: 単行本
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その関連で「浄土真宗はなぜ日本でいちばん多いのか」(島田裕巳)では、庶民の宗教となった鎌倉仏教が日本の宗教の大きな核となったことを理解しました。
- 作者: 島田裕巳
- 出版社/メーカー: 幻冬舎
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- 作者: 元木泰雄
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鎌倉幕府を創設し、武士の代を築いた源頼朝の源流、河内源氏の歴史を追いかけます。やたら人名が多いので結構読むのに苦労しましたが、筋をざっと追いかけて行くと、王権や朝廷と、自分の力と能力のみを恃む自力救済の間で揺れ動きながら、栄光と没落、凄惨な骨肉の争いを経験した(ちょうど「平清盛」の次回がその辺りの最高潮となる保元の乱ですね)、実に劇的な一族であったことが分かります。
当時の絶対権力だった天皇・朝廷も相対化し、自らの力量のみを頼って最後まで生き抜こうという、河内源氏に脈々と流れる思想こそが、頼朝に、そして鎌倉幕府に継承されていった、というくだりがありますが、これは激動の変換点に共通の命題だと感じました。明治維新では幕府が、敗戦時は軍部が、あっという間に大権力の座から真っ逆さまへと落ちていきました。
あらゆる権威を相対的なものとして捉え、自主自立の心構えで対処していく、そんなことを一連の中世ものから学んでいます。