anezakimanの部長日記

メーカー部長、中小企業診断士、通訳案内士(英語)、放送大学大学院修士全科生の日々奮闘記

講演会: 出口治明さんの話を聴きました

30℃を超える暑い夏が戻ってきた本日、朝から横浜の関内まで出かけて中小企業診断士の理論政策更新研修を受けました。出口治明さんの講演があり、ずっと前から楽しみにしていました。

 出口さんと言えば、戦後初の生命保険会社であるライフネット生命を還暦の歳で立ち上げ、現在売り上げ100億円まで伸ばして成長させた立役者であると同時に、歴史中心としたリベラルアーツに造詣が深く、ビジネス、歴史、教養、読書などをテーマとした本を多数出されている当代きっての知識人であり、私も多くの著書を読んでいる出口ファンです。

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 その語り口は、朴訥な関西弁ながらも一語一語明瞭かつ腹に響く迫力が感じられ、さらにユーモアにも溢れ、その出口節に改めて尊敬の念を強くしました。以下忘備録的に。

  • 人間は動物である。衣食足りて礼節を知る。人はパンのみに生くるにあらず。
  • 世界経営計画のサブシステム。この世界をどのようなものとして理解し、どこを変えたいと思い、自分はその中でどの部分を担うのか。
  • 人間は見たいものしか見ない、あるいは見たいように現実を変換して見てしまう動物(脳の構造)。記憶ですら変換される。
  • タテ(歴史)、ヨコ(地理)、算数の重要性。
  • 数字、ファクト、ロジックのみで考える。
  • 「象のチャート」は世界規模の所得変動を示し、トランプおじさんをも説明。
  • 日本の少子高齢化について。ヤング・サポーティング・オールドではなく、欧州のようにオールド・サポーティング・オールド(あるいは弱者のみ支える)にしていく必要性。そのためには、所得税と住民票から、消費税とマイナンバー制へのパラダイムシフトが必要。 
  • 赤ちゃんを増やすためにどうするか、フランス人は徹底的にロジカルに考え、シラク3原則を確立。①産みたいときに産める社会(財政援助)、②待機児童ゼロ(義務保育)、③育休後に復帰した際のキャリア不利の撤廃。それでフランスの出生率は2.0となった。
  • 定年廃止には3つのメリットあり廃止すべし。①健康寿命向上、②年金・医療財政良化、③年功序列の崩壊。
  • Googleの人事では、年齢、国籍に加えて性別すら管理していない。これまでのキャリア、今やっていること、将来やりたいこと、これだけ分かれば十分だと。
  • 公的年金は決して崩壊しない。分配は国家の根底にて、民主主義国家としてそんな政治家だと政権から外される。
  • 1000兆円の借金という異常な財政赤字。まずはプライマリーバランスを黒にすること、借金は当面借り換えでまかない、その間のイノベーションを待つしかない。
  • 日本の国際競争力、生産性はG7の中では20数年連続で最下位。高度成長期の工業社会、男性中心の社会の象徴であるメシ、フロ、寝るから、多様な価値観に触れて創造性を高めるための、ヒト、本、旅への転換が必要。政府はそこにようやく気づいて働き方改革をやっている。
  • さらにサービス産業化の進展に伴い、消費の牽引が女性中心に。それが政治的には女性が輝く社会にとなっている。
  • 昔は残業や徹夜が日常茶飯事でやりがいがあった的なノスタルジーおじさん多いが、それが創造性につながったという事例は寡黙にして聞かない。むしろ最新の脳医学では、脳は2時間しか集中力が持たないという見解で一致している。その証拠に映画は長くても2時間。
  • ベンチャーに必要なのは志と算数。人を動かす志がないと人は助けてくれない。数字的に真っ当な事業計画書がないと始まらない。
  • 健康を気にすることは一切ない。好きなものを食べて、好きなところに行って、好きなことをして生きる。病は気から。還暦過ぎたら神様が決めるものと達観。

という感じであっという間の1時間半でありました。最後に名刺交換までさせていただき、興奮のうちに出口劇場の終わりとなりました。

その帰り、お腹が空いたので伊勢佐木町界隈で有名なラーメン店、「地球(ほし)の中華そば」に寄って、エビワンタン塩そばをいただきました。

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濃厚、複雑な味わいのあるスープに細麺がぴったりハマる、評判通りの美味なラーメンでした。脳に、お腹に刺激的な栄養をいただけた休日となりました。