読書:海賊とよばれた男
先週は暑い暑い国に出張し、熱い議論をたっぷり行ってきました。昨日から9月になりましたが、日本もまだ暑いですね。この週末は時差ぼけ含めた出張疲れの癒しのため、睡眠時間9時間の寝溜め状態、家にこもって読書にいそしんでいます。
読んだのは『峠』、『鉄のあけぼの』に続く熱い男の物語として、『海賊とよばれた男』(百田尚樹)です。
- 作者: 百田尚樹
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2012/07/12
- メディア: 単行本
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戦前に満州、中国に一大拠点を展開、敗戦後にすべてを無にしながら、一人の解雇者も出さず、数々の艱難辛苦に耐え、さらに戦後の復興期での世界のオイルメジャー、日本の政府官僚、護送船団を願う同業他社の数々の規制や妨害にもめげず、出光興産を一代で築き上げた異色の経営者、出光佐三の生涯を描いた歴史経済小説です。
有名な勤務表なし、定年無しの出光の人間尊重の家族経営は、私が学生時代の就職活動中にも耳にして、実際に出光に会社訪問もしましたが(残念ながら縁がなく別の会社に入りましたが)、その原点、徹底振りが鮮やかに描かれています。また、いわゆる「日章丸事件」のくだりは、涙無しには読めません。日本にこのようなスケールの大きな経営者がいたとは。『鉄のあけぼの』の西山弥太郎氏とともに、戦後の日本復興をリードした経営者の方の強烈なビジョン、信念を貫く勇気、果敢な行動力がとても感動的です。
今が、明治維新、太平洋戦争敗戦後に続く第三の激動期だからこそ、こういった方の人物ストーリーが改めて脚光を浴びるのでしょう。日本男児の清廉さ、痛快さを描いたミリオンセラー『永遠の0』に続く百田尚樹氏の渾身のノンフィクションノベル、これは日本人必読です。